ブラジル式フットサル講習会

ブラジル式フットサル講習会は、ポルセイド浜田監督(Fリーグ)を務める峯山典明(フットサルB級指導員)の指導論・育成フィロソフィーを掲載しているブログです。また、ブラジルで培って来た経験談、コラムも掲載しています。Copyright(C), 2005-2022 MIRACLON ブラジル式フットサル講習会 All rights reserved. このウェブサイトで掲載されている写真・記事・内容の出典を明記しない転載・無断転載・商用の転載を禁じます。

なぜ今フットサルなのか、、、(2)

なぜ日本はU-6、U-12のような若年層から11人対11人のフットボールなのでしょうか?

☆比較してみましょう(1)

・コートの大きさ→サッカー=大、フットサル=小

筋力が発達していなくて体の小さい子供たちにとって、大きいコートと

小さいコートどちらでプレーするのが良いでしょうか?

6歳~12歳でコートの端から端まで遠くにボールを強く蹴れる子は

いったい何人いるか・・・?

小学校高学年のチームで1人いるかいないかだと思います。

体力面ではどうでしょうか?

小学生の試合で(だいたい20分ハーフ?)全後半フル出場して、

常に全力でプレー出来る選手はどのくらいいるか?

また、フル出場したとしてもプレーの精度の落ち具合、

疲労によるケガをする頻度は?

これらを考えた場合、6~12歳では狭いコートでプレーする事と、

プレー時間を短くする事が適しているような気がします。

大きなコートで試合をするのは体が発達して、ロングボールがしっかりと

蹴れるようになってからでも遅くはないんじゃないかなと・・・。

長いプレー時間のゲームも体力がついてからでも良いかもしれません。

誤解が生じても問題ですので、先に断っておきますが、

何が何でもフットサルというわけではありません。

筋力が発達するまでは短い距離のパスの技術を徹底して身につけ、

精度にこだわってプレーする事で成熟した時の土台作りが出来るのは

スモールゲームではないか?

という話なだけなので・・・。

☆比較してみましょう(2)

・プレー人数の違い→サッカー=多い、フットサル=少ない

現状、日本のサッカー界(特に若年層)では一部地域を除いて大半の地域で、

自ら自主練習をして勝手に上達する子供、

物心ついた時からの生活の中でコーディネーション能力が養え、

身体能力が高い(足が速い、背が高い)子供が優遇される環境でサッカーをしています。

それはまだまだ日本が結果で優劣を評価している風潮があるからです。

やっとここ2~3年頃から若年層では勝ち負けにこだわらず、

伸び伸びと育てて技術向上を最優先させよう。

というような事が言われて来ていますが、それを実践出来ているのは

本当に極一部のチームだけなのが現状です。

なぜかというと、学校の知名度アップ、保護者からのプレッシャー、

指導者自身のステップアップという、どうしようもない理由が原因です。

学校側はチームが勝てば学校の知名度が上がるので、指導者には「勝利至上主義」を押し付けます。

保護者がチームの構成に口出しする事もあります。

自分の息子よりも技術が劣っている選手が試合に出た場合、

何かと口出しして来るような人もいるようです。

これでは指導者が可能性のある(現状では実力が低い)選手を伸ばして上げようと思って、

実践経験を積ませるために我慢して起用したくても保護者からの口出しがあった場合、

全ての指導者がそのプレッシャーに勝てるとは思えません。

気の弱い指導者だったら、チームを支えている保護者からのクレームに耐え切れず、

保護者の理想通りの選手起用をしてしまう事があります。

一番酷いのが、指導者が自身の知名度アップやヘッドハンティング目的で

勝利至上主義になっている場合です。

これでは元々上手い子以外が試合に出るのは困難です。

と、このように、チームに所属する子供たち全員が試合に出れるわけではありません。

スポーツは実力主義と言われればそれまでですが、

幼稚園児~小学生、中学生に果たしてそれが必要でしょうか?

例えば、サッカーは1チーム11人で構成されますが、

FW・MF・DF・GKの内訳はどのようになるでしょうか?

技術のある子、背の高い子、身体能力の高い子、様々です。

私が小学生の時にプレーしていたチームでは、

足の速い子がFW、背の高い子がGK、技術の無い子がサイドもしくはGK、

とだいたい割り振られるポジションが決まっていました。

足の速い子をFWに置いてしまえばボールを前に蹴っただけで相手DFを振り切れてしまうので、

フェイントでかわしたり、緩急をつけたり、足下での柔らかいボールタッチの技術は一切身に付けようとしません。

そのまま中学生~高校生になってしまったらどんな選手になるでしょうか?

たまたま小学生時代は足が速かったから点を取れたでしょうが、

周りの子も成長して、走る早さが同じで技術のある選手が対戦相手と

なった場合、全く点が取れなくなってしまいます。

勝利至上主義だと指導者は簡単に点が取れてしまうので足の速い子を

FWにしようとしますが、これでは技術が身につかないのでプロサッカー選手になるのは難しいです・・・。

それでは、フットサルをプレーした場合はどうなるでしょうか?

フットサルはコートが狭いので、足の速さをいかして縦に全力疾走ドリブルをしようとすると

たちまちボールがタッチラインを割ってしまいます。

また、敵味方の距離が非常に近いのでスペースがありません。

スペースが無いという事は足の速さをいかしたプレーだけでは通用しません。

だから、自ずとスペースをいかしたプレーに制限がかかり、

足下の技術やボールコントロール、そしてスピードを利用しないフエイントで

抜くというドリブル技術を身につける事が出来るようになります。

また、フットサルはプレー人数がGKを除くと4人しかいません。

11人制ならば技術のある子だけでパスを回すような事も可能ですが、

(ロングボールを蹴ったりして)

フットサルのようにプレー人数が少ない場合は4人全員に万編無く

ボールを触る機会があります。

11人制でプレーした際の1人あたりの1試合でボールに触る時間と、

フットサルでプレーした際の1人あたりの1試合でボールに触る時間、

どちらが沢山あるでしょうか?

確実にフットサルをプレーした方が沢山ボールに触れると思います。

フットサルならば全員に満遍なくプレーする機会が与えられるので、

平等なスポーツとなる可能性があります。

最後に、11人制ならば大半のチームがFW、MF、DFと役割分担されています。

どのポジションの選手が得点チャンスがあるでしょうか?

たまにサイドバックや中盤の選手が点を取れても、やはり攻撃ポジションの選手が

沢山点を取れると思います。

これでは全選手に得点力を向上させる事が出来ません。

シュートテクニックやシュートセンス、チャンス時の状況判断を伸ばす事が出来るのは

一握りの選手だけになってしまいます。

若年層でこのような状況であって良いのでしょうか?

フットサルならば4人しかいないですし、ポジションも流動、

そしてコートが狭いから誰にでも得点する機会が与えられます。

誰にでも平等なのがフットサルだと思います。

サッカーの指導者は、「それなら練習にスムールゲームを取り入れれば良いのでは?」

と言うと思いますが、そのスモールゲームの真剣勝負や他チームとの交流を頻繁に行う機会はあるのでしょうか?

※注)U-20ジャパンズエイトが最近発足しました。

だからこそ、サッカー協会も認知し、全国各地でリーグ戦などが行われるようになった

フットサルをプレーしてもらいたいと思っています。

もちろんフットサルが全ての面で良いとは言いません。

激しいあたりや滑ったりしてボールを奪う等のプレー技術を身につけたり

対処方法を身につけるためにも11人制のサッカーもプレーした方が良いと思います。

ですが、出来るならばフットサルのプレー頻度を高めてもらいたいと思います。

余談ですが、ブラジルではフットボールを「外」、「室内」と分けて言います。

どちらもフットボールなんです。

ですが、日本では英語の影響が強いので、「サッカー」という言葉が抜けません。

日本ではフットサルとサッカーの違いを人数で判断したりしています。

だから日本でフットサルコートというと人工芝であったり、平気で屋外コートで

プレーさせたりするのでしょう。

5人でプレーするならば全てフットサルというような風潮があります。

ブラジルではフットサルはあくまで「室内」のものです。

絶対に外ではプレーしません。

外でプレーする場合は人数が多くても少なくても「外」と言います。

語源は「futebol de salao(室内のフットボール)」

日本でのフットボール事情に関してはとても違和感があります、、、。

これが文化の違いなのでしょうか、、、。