ブラジル式フットサル講習会

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コラム:良いチーム作りに帰属意識は欠かせない

 私が現役の時は、ベンチにいるスタッフ・選手が、全員でピッチの選手を鼓舞するのは、当たり前のことでした。理由は単純です。自分の所属しているチームが、好きだから! です。 チーム自体が好きなのだから、自分が登録メンバーであっても、メンバー外でも、関係ありません。選手の中には、自分がメンバーから外れたのに、試合に出ている選手を応援する事は出来ない、という人もいますが、それは間違っていると思います。自分がメンバーを外れて、他選手を応援出来ない人は、チームが好きなのではなく、自分が好きなのでしょう。多分、そのような選手は条件さえ合えば、なんのためらいもなく、他チームに移籍してしまう気がします。
 
 色んなカテゴリーの試合を見ていて気になるのが、ベンチの静けさです。仲間がチームの勝利のためにピッチ上で頑張っているのに「俺はもう役目を終えた」とばかりにベンチに座って、休憩しているだけです。疲れ果てて、バテているならまだわかりますが、そうでもなさそうなのに、誰もが口を開いていません。そのようなベンチを見てしまうと、とても寂しく感じてしまいます。
 
 自分のチームが好きならば、負ける所は見たくないはずですし、負けたくないはずです! 「負けても良い、勝ちたく無い」という人はいないでしょう。そうだとしたら自然と口は開くし、チームメイトを励ますような言葉をかけられると思います。「ナイスキーパー、ナイスシュート、ナイスカット、ナイスクリア、ナイスラン、ドンマイ、グッド、頑張れ! 」など、いくらでも励ましの言葉はかけられます。
 
 しかし、チームのことを好きでなければ応援する気持ちは湧いてきませんし、不満があれば最初は応援する気持ちがあっても、少しずつ失われて行くと思います。そのチームを好きでいられれば問題ありません。では、なぜ不満が生まれるのか。
 
 チームに入団した当初は、何もわからない真っ白な状態ですので、そのチームでプレーするだけで十分満足出来ます。でも、チームに慣れて来ると、欲が出てきます。試合に出たい、スタメンで出たい、もっと出場していたい、となります。その欲が満たされなければ、少しずつ不満が溜まって行ってしまいます。
 
 不満は誰しも抱く物なので、それがあること自体は問題ありません。所属しているチームの方針(理念)を理解したうえで、それを受け入れることができるなら、がまんできるはずです。「支持しているチームの方針」と「自身の不満」を天秤にかけ、前者が重いままならばチームの事を好きでいられるし、後者が重ければチームから心が離れて行ってしまうでしょう。
 
 ですが、その不満が全てではないと思いたいです。どんなに不満がある選手でも、仲間は【かけがえのないもの】ですので、今一緒にプレーしている仲間たちと、いつまでもプレーしていたい、この仲間たちとなら困難を乗り越えられる、切磋琢磨して成長する事が出来る、という充実感は自分勝手な欲・不満を取り除いてくれます。
 
 自分のことを思って意見してくれたり、プレーが良くなるようにアドバイスをくれたり、上手い選手たちとプレーしたりすることで、自分自身の技術を磨くことは、何ものにも代えがたいものです。
 
 もちろん選手には引退がありますし、新メンバーの補強はつきものです。誰々がいないから、などと甘い事を言っていたら勝てません。どのようなメンバー構成になったとしてもやるべき事は一つです。【チームの勝利】のために戦う。その時チームに所属している仲間が【チームメイト】です
 
 人間には口がついています。その口はなぜついているのでしょうか。物を食べるためだけなのでしょうか。私は、口の存在理由は、言葉を話して、意思の疎通を図るためでもあると思っています。
 
 フットサルは団体競技です。団体競技である以上は、人と人のつながりが重要になってきます。その、人と人のつながりも、言葉を使わなければ、強固になりません。練習中に、お互いのプレーについて意見交換をしたり、改善点があればそれを指摘し、何か問題があれば、それを解決するためのアドバイスをする。それは言葉を発しなければできないことです。みんなが所属しているチームの勝利のために力をあわせる。それが普段から出来ていれば、仲間意識は強くなりますし、当然試合中のベンチで仲間が戦っていたら、応援せずにはいられないでしょう。
 
 「チーム方針への理解」「かけがえのない仲間」これらがあわさった時に【チーム愛】は育まれると思います。それが帰属意識というものではないでしょうか。