ブラジル式フットサル講習会

ブラジル式フットサル講習会は、ポルセイド浜田監督(Fリーグ)を務める峯山典明(フットサルB級指導員)の指導論・育成フィロソフィーを掲載しているブログです。また、ブラジルで培って来た経験談、コラムも掲載しています。Copyright(C), 2005-2022 MIRACLON ブラジル式フットサル講習会 All rights reserved. このウェブサイトで掲載されている写真・記事・内容の出典を明記しない転載・無断転載・商用の転載を禁じます。

講習会レポート【ボールを奪おう!!】

2012,6/22(金)に開催した、脱ビギナー・超初級・初級者方を対象とした
ブラジル式フットサル講習会のレポートを公開致します。
 
テーマは【ボールを奪おう!!】でした。
 
トレーニング内容を公開致しますので、
ポイントと共にメニューをご覧ください。
チーム練習・自主トレの参考にしていただけたら幸いです。
 
 
●ウォーミングアップ
・腸腰筋のストレッチ
・股関節のストレッチ
・股関節回し(前後左右)
・他下半身のストレッチ
 
【ポイント】
・1対1の守備のでボールを奪うには、腰を低く落として、
 足が遠くまで伸びるような体勢をとらなくてはいけません。
 腰を低く落として足を伸ばすには、股関節が固ければ苦しい姿勢にしか
 なりません。
 良いディフェンスをするためにも、股関節の柔軟性は必要です。
 
●ディフェンスの基本姿勢解説
・ボールを持っているオフェンスの選手と正対するように立ってしまうと、
 爪先と踵が正面を向くような姿勢となってしまい、
 そのまま腰を落とすとスクワットをしていることと全く同じなので、
 非常に辛い姿勢となってしまいます。
 また、正面を向いたまま足を伸ばそうとしても、
 体の構造上、前に片足を伸ばしてしまうと、その次の動作が難しいです。 
 ですから、一度かわされてしまうと、リカバリーが難しいので、
 ディフェンスの姿勢としては正しくありません。
 
 自然に足を伸ばしやすく、なおかつ遠くまで足を伸ばすためには、
 【半身】になることです。
 半身になることでドリブルコースやパスコースを切ることにも繋がりますし、
 もし自分がボールを奪えなくても、後ろにいる二人目のディフェンスが、
 ボールを奪いやすくなります。
 
 余談ですが、バスケットボールとフットボールでは、ボールを奪うために
 使う体の部位が違います。
 バスケットボールは手でボールを扱う競技なので、ボールを奪うのは「手」です。
 ですから、ボールに対して「手」を極力近づける必要があるので、
 体の前方に片手を伸ばして、腰を低く落とす姿勢となります。
 しかし、フットボールは「足」でボールを奪う競技です。
 「足」でボールを奪うのに、ボールに対して足よりも手を近づける必要は
 ありませんし、意味もありません。
 ですが、小学生・中学生だけでなく、高校生や大学生を見ていても、
 1対1の守備の際に手が体の前にあり、抜かれた時にすぐ手を出して、
 シャツを引っ張るという悪いプレーが見られます。
 ようするに、小さい頃から守備の基本姿勢を正しく教えられておらず、
 なおかつ抜かれたら「ファウルしてでも止めろ」と悪い指導をされた選手が多く、
 そのような「バスケットボールの姿勢」で守る選手が増えてしまっています。
 非常に残念です。
 
 フットボールでは、ボールを奪うのは足で、ドリブルコースとパスコースを
 限定し、なおかつ一度抜かれてもすぐ追いかけられる姿勢が、
 正しい基本姿勢となります。
 
 それらを含めると、
 (1)半身になる
 (2)足が極限まで伸びて、ボールを突っつけるように腰を低く落とす。
 (3)手は足よりも後ろ
 (4)抜かれても追いかけられるように、後ろ足は後ろを向ける
 (5)抜かれても追いかけられるように、体重は後ろ足にかける
 となります。
 これがフットボールのディフェンス基本姿勢です。
 
●ディフェンスの姿勢確認+ドリブルを外に追い込む
・ピッチ中央にオフェンスがボールを持って待機し、ディフェンスはボールに
 足が届くか届かないか、ギリギリの距離で、手が足よりも後ろになるように、 
 半身になりながら体重を後ろにかけ、腰を落とす。
 
【右サイドへ行かせたい場合】
・オフェンスを見て、自分にとって左側に立ち、左足を前に出して、
 体を半身にして右方向に活かせるような立ち位置をとる。
・後ろ足は右斜め後ろを向くようにし、速いドリブルをされた際に、
 ダッシュで追いかけられるようにする。
・相手選手のシャツをつかまないように、手は極力低い位置へ。
・相手のドリブルにあわせて前足(この場合は左足)をすり足で移動させ、
 後ろ足(右足)で素早いステップを踏む。
・絶対に左サイドへ行かせない(逆をつかせない)ように、
 オフェンスに対して左側に立つことを徹底する。
 
※左サイドへ追い込みたい時は、足と体の向きは逆になります。
 
●ボールを奪うタイミングをつかむ(1)
・横6m、縦15m程度のグリッドで1対1を行います。
・オフェンスとDFに分かれて、オフェンスは足下にボールを置いたまま、
 ゆっくりと前進するようなドリブルをします。
 DFは、ボールに足が届くか届かないか、ギリギリの間合いを保ちながら、
 半身の姿勢で後ろに後ずさりして行く。
・オフェンスはDFを見ながらゆっくりドリブルをして、DFとの距離が近づいて
 ボールに対して足が伸びて来ると思うならば、ボールを止めてドリブルを停止
 させます。(DFに対して牽制をする。)
・DFは、素早く動けるように腰を落として姿勢を低くし、半身になっていつでも
 ボールを奪えるように、一瞬でボールまで足を伸ばせる準備をしておきます。
 そして、オフェンスのドリブルにあわせて、後ろに後ずさりをするように、
 自分の間合いを保ったまま、常にボールを奪うタイミングを見計らってください。
 
☆パターン(1)
・オフェンスが下を向いていて、ボールコントロールに気を取られていて、
 DFを全く見ていなければ、一気に足を伸ばしてボールを足を突っつきます。
 
☆パターン(2)
・オフェンスがDFを見ながらゆっくりドリブルしている場合は、
 こちらかむやみに飛び込まずに、自分の間合いを保ったまま細かいステップを
 踏んで素早く動けるようにしておきます。
 そして、ドリブルが一歩大きくなったり、ボールコントロールをミスして、
 ボールがオフェンスの足から離れた瞬間に、一気に足を伸ばしてボールを
 突っつきます。
 
【ポイント】
・足が届くか届かないかギリギリの間合いになる理由は、足が完全に届く距離だと
 オフェンスに近づき過ぎてしまい、DF側の横にトップスピードで入られた場合、
 追いかける術がありません。
 一瞬で抜去れる危険があるので、近づき過ぎてはいけません。
 足が届くか届かないかギリギリの距離の場合、だいたいオフェンスとDFの距離は
 2m程度開くことになります。
 2mの距離が開いていれば、もしスピードを活かしたドリブルをしてきたとしても、
 対応するだけの距離と時間があるので、抜かれる確率は低くなります。
・半身になる理由は、足を伸ばすにはどのような姿勢になるのが良いか、
 それを考えると半身の姿勢が、一番足が遠くまで伸びます。
 しかも半身になることで腰も落としやすくなるので、ボールを奪いたい時に、
 一瞬にして足を遠くまで伸ばすことが可能です。
 ストレッチの伸脚を行うイメージです。
 オフェンスに対して両足の爪先が、完全に向かい合うような姿勢(正面を向いた状態)
 では、足は全く伸びません。
 足を遠くに伸ばそうとしても、大股で前に一歩踏み込むような姿勢になるので、
 ボールに足が届かないですし、スピードも遅く、なおかつボールを上から踏むような
 形になるので、ボールを奪うには適していない姿勢と言えます。
 半身が理想。
 半身になることでワンサイドカットが出来るし、良いことだらけです。
 
●ボールを奪うタイミングをつかむ(2)
・横6m、縦15m程度のグリッドで1対1を行います。
 横幅6mという狭い範囲なので、スペースへ蹴ってトップスピードで抜く、
 速さを活かしたドリブルは困難です。
 そのためオフェンスはゆっくりと、DFを左右に揺さぶりながら抜くドリブルを
 することしかできません。
 そこで、DFはボールに足が届くか届かないか、ギリギリの間合いを保ちながら、
 オフェンスがボールコントロールをミスして、足下からボールがほんの数十センチ
 離れた瞬間に前足を伸ばして、ボールを突っつくことが出来るようにしておく。
 また、オフェンスが下を向いてボールしか見ていない場合、完全に
 DF側が優位と言えるので、恐れずに前足でボールを突っつくチャレンジをする。



●4対4のハーフコートゲーム(ポジション固定)
・FP4人がダイヤの形からスタート。DFもダイヤでマンツーマン。

<DFの約束事>
[PIVO]
・相手チームのFIXOがボールを保持している場合は、簡単にパスを出させないように
 少し距離を縮めてプレッシャーをかける。(ミスを誘う)
 相手チームの左右ALAがボールを持っている時は、相手チームのPIVOにパスが入ら

 ないように、PIVOへのパスコースを消すポジションをとる。
 (必ず内を絞る。PIVO当てを防ぐ。)

[ALA]
・FIXOからのパスが自分のマークするALAに入った時、ライン際の縦を切る。
 1対1で負けない。裏を取られない。
・FIXOの体の向きを見て、自分がマークしている選手にパスが出ることを、
 あらかじめ予測しておき、姿勢などの準備を怠らない。
 そして実際にパスが入った瞬間には、ALAとの距離を2mまで縮めて、
 ALAにプレッシャーをかける。
 ALAがプレッシャーに負けて後ろを向いたら、更に距離を縮めて体を寄せる。
 あわよくば後ろからボールを突っついて、ボール奪取を狙う。
・ALAがトラップミスをしたり、ドリブルのコントロールミスをして、体から
 ボールが離れたら、一気に足を伸ばしてボールを突っつき、ボール奪取を狙う。

[FIXO]
・相手チームのPIVOにパスを入れさせないように、常に前でパスカットを狙う。
 ただし、前でカットしようとしていることを逆手に取られて、PIVOにターン
 されるようなプレーは控える。
 PIVOの前に出るのは、パスが入る瞬間だけ。
 パスが来るまでは横に並ぶことを意識して、相手にプレッシャーをかける。
 
以上です。
 
4対4のハーフコートゲームでは、オフェンス側が左右にパスを散らして、
それに対してDFがマンツーマンで守備をした場合、どこかでボールを奪うことに
チャレンジしなければ、体力的に非常に苦しくなってしまうことが
わかったと思います。
 
フットボールの守備は「守りに備える」ことではなく、
あくまで攻撃する為にボールを奪うディフェンスでなければいけません。
 
ですからゲームでは常にボールの行く先を予測し、パスコースを限定して、
チームとしてボールの奪い所を決めて、「今だ!行け!奪え!」
というようなディフェンスをする必要があります。
このディフェンスが出来るようになると、相手ボールの時に余裕が生まれ、
攻撃する機会も増えるので、攻守が一体となったフットボールを楽しめるように
なります。
 
トレーニングメニューとあわせてポイントもご確認ください。
チーム練習・自主トレの参考にしていただけたら幸いです。