ブラジル式フットサル講習会

ブラジル式フットサル講習会は、ポルセイド浜田監督(Fリーグ)を務める峯山典明(フットサルB級指導員)の指導論・育成フィロソフィーを掲載しているブログです。また、ブラジルで培って来た経験談、コラムも掲載しています。Copyright(C), 2005-2022 MIRACLON ブラジル式フットサル講習会 All rights reserved. このウェブサイトで掲載されている写真・記事・内容の出典を明記しない転載・無断転載・商用の転載を禁じます。

子どもが話を聞くようになるには

今日は、チーム(スクール)の子どもたちが、

どうしたら話を聞くようになるか、

遊ぶのを止めるか、

という話を書きたいと思います。

自分自身が子どもの頃のことを思い出すと、

学校の勉強もそうですが、大人から強制的に「~しなさい」

「~をやめなさい」と言われると反発心を抱きました。

やる気のない時や、やりたくないことに対して、

大人からあれこれ指図されるのは、とても嫌なものでした。

しかし、大人になると子どもの頃の気持ちや、

嫌だなぁと思ったことを忘れてしまうのか、

口うるさくなってしまうものです。

これから練習をするというのに子どもたちが話を聞こうとしなかったり遊んでいたりすると、

「~しなさい」「~をやめなさい」と言ってしまいませんか?

このようなことはなんとなく無意識にやってしまいがちで、

私も選手から指導者に転向してからは、

特に何の気も無しにやってしまっていました。

今思うと逆効果であったと反省しています。

嫌々やらされるのですから、話なんて聞こうとしませんよね。

そして、ボールを蹴って遊ぶのも楽しくてやっているのだから、

止めるわけがありません。

指導者に転向後、約10年近くが経ち、最初は4人から始まったスクールも全カテゴリー

あわせて50人近くになり、6年目には日本一のタイトルを獲得することができました。

そこに至るまでには様々な試行錯誤を繰り返しました。

その経験で得た知識を基に実践して来た内容は、

次のようなものです。

とにかく我慢する!!

ことです。

●子どもたちが遊んでいても、好きでやっていることなのだから放置する。

・遊びの中でボールコントロールが身に付いたり、シュート技術が身に付くこともある。

→ゴールに向かってボールを蹴ったりしたいのはシュートが打ちたいから。

 それなら好きなだけシュートを打たせてあげる。

 自由に沢山シュートを打つことで、シュートのコツを掴むこともある。

・飽きたら自然に集まって来る。

→いつまでたっても練習が始まらないことに疑問を感じて来る。

 どうして練習が始まらないのか、どうしたら練習が始まるのか気付く。

 自分の意思で練習に来るのだから、自分たちから「やりたい」という環境を作り出す。

 練習をやりたいのは自分の意思であることの確認。

 内在的欲求を引き出す。

決して大人から「やろう」「やるよ」ということはしない。

ということです。

たったこれだけのことで、子どもたちは少しずつ自立して行きます。

自立の促しが出来ると、「挨拶」「荷物の整理整頓」「用具の準備」など、

今までだったら「つまらない」「関係ない」と思うような話も聞けるようになるので、

組織としてまとまってきます。

この組織としてのまとまりが出て来ると

目標に向かって選手が協力し、より練習に身が入って来ます。

【ポイント】

●我慢すること

●内在的欲求を引き出す

●自立への促し

【やってはいけないこと】

●話を聞こう

●遊ばないよ

●集まって

などの声かけ

【大人の命令口調→ヒントなど、促す声かけに変える】

●話を聞こう→「今は何をする時間かな?」

●遊ばないよ→「何がやりたいの?」「練習したい?したくない?」→「じゃあ、どうしたら良いかな?」

●集まって→「練習やらないの?」

最後に、今回の内容はスクールには向いていないことを強調しておきます。

なぜならば、スクールは生徒の親御さんが1コマ(何分)単位で月謝を支払い、

時間で「教えてもらう」ことを目的として来ているからです。

我慢するということは、時間が過ぎ去って行くことと同じです。

指導者が子どもたちの内在的欲求を引き出そうと我慢している時でも、

外から見た保護者にしてみれば何もしていない時間が多く、

「いつまでたっても始まらない」「子どもに好き放題やらしている」

「何も教えていない」と思うからです。

現代社会では自宅近くで自由にボールを蹴れる空き地や公園が多くなく、

スクール以外で自由にボールを蹴って遊ぶことができなくなっています。

そのため、遊びの中での気付きというものを得る経験が圧倒的に不足してます。

ですから、自由にボールを好きに蹴る時間がスクールであっても良いのではないか?

と私は思っています。

話がそれてしまい申し訳ありません。

ようするに、子どものためには何が一番良いのか?

という話だと思います。

スクールで前述した「我慢する指導」を実践するには、

一つの方法があります。

それは、入会される選手と保護者に「方針」について説明することです。

「ティーチング(教えること)」はせずに、「コーチング(導くこと)」中心です。

と説明し、具体的にどのように指導していくのか、話をします。

納得してもらえれば入会してもらえますし、納得してもらえなければ入会されませんので、

後々誤解されたり退会されるようなことは少なくなると思います。

本内容はチーム向けだと、私は思います。

なお、チーム向けでも成果が出るには大変時間がかかります。

早くて1年、長くても3年はかかります。

そして試合で良い結果が得られるようになるには5年かかります。

目先の人数(利益)確保のために保護者受けするティーチングをするか、

それとも長期的視野でコーチングを実践するか、という話になります。

周りから批判されたり、受け入れられなかったとしても、

私は自身の哲学の基、方針を貫きます。