ブラジル式フットサル講習会

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監督とコーチ、理想の関係

2016年3月に高知県へ移り住み、顧問の先生が監督を務める中学サッカー部で外部コーチを務めた際にある覚悟を持って臨んでいました。

それは、サッカーやフットサル(チームスポーツ)における監督とコーチの理想の関係は、 一心同体であること!です。

 

どうしてそのような考えに至ったかと言うと、 日本のチームスポーツで監督を務める方達の多くが コーチに対して下記のような問題を抱えているからです。

問題点は二つあり、一つは「越権行為」。 もう一つは「野心」です。

それでは、まず最初に「越権行為」とは具体的にどのようなことなのか、 何が問題なのか、説明致します。

 

【コーチの越権行為について】 チームは、監督の哲学に基づいて作られて行きます。 監督の考えが全てとも言えます。 しかし、コーチの中には監督と自分を比較し、 「俺の考えの方が良い!」と思い、 監督の許可を得ずに勝手に自分の考えを選手に伝えたり、 監督が言ったこととは違うことを選手に言う人がいます。 選手の立場になって考えると、「監督とコーチがそれぞれ違うことを言っている」 どっちを信じれば良いのだろう?どっちが正しいのだろう? と混乱してしてしまいます。 混乱したままでは良いプレーが出来ません。 常に判断が伴うスポーツですので、監督とコーチが違うことを言っていたら どのようにプレーすれば良いのか迷います。 それは決して良いこととは言えません。 チームとして良い結果が出ることはありません。

 

【コーチの野心について】 もっと上のレベルに挑戦したい!と思うこと自体は悪いことではありません。 しかし、時と場所による、ということです。 コーチはその名の通り「コーチ」です。 肩書きがコーチである以上、その上にはボスとして「監督」がいます。 自分よりも立場が上の人間がいるにも関わらず「野心」を発揮するのは、 人としてどうなのでしょうか?という話になります。 コーチの役割は監督及びチームのサポートであり、 それ以上でもそれ以下でもありません。 コーチは監督が「~のようなチームを作りたい。だから~をして欲しい。」 という要望の基、仕事を進めて行きます。 越権行為の話にも繋がりますが、自分の意思で勝手に判断して、 勝手に行動(仕事)してはいけないのがコーチです。 あくまで監督の意思・決定があってこそのコーチです。

コーチが抱く「野心」とは具体的にどのようなことかと言うと、 「監督の座につきたい!」という思いです。

自分が監督になりたい!という気持ちが強過ぎると、 今の監督(自分のボス)をその座から引きずり下ろす為に、 様々な策略を練って、実行に移して来ます。 陰で監督の悪口を言ったり悪い噂を広めたりすること。 監督に対して不満を持っている選手に同調し、「俺もそう思うよ!」 と増長させたり、チームに対して不安に思っている選手には その不安を煽るようなことを言うなど、チームが上手くいかないように 足を引っ張る言動をします。

チームは一枚岩にならなければ良い結果を出せません。 それなのにチームをバラバラにしようとする行為は 迷惑でしかありません。 コーチの職務を放棄しているということになります。

私は指導者として活動をして来て、実際にこられの問題に直面しました。 チームは上手い選手が集まれば勝てる!という単純なものではありません。 監督とコーチ、そして選手、全員がまとまって初めてチームと言えます。 もっと欲を言えばフロント(強化部・育成部・普及部の責任者など)も。 監督とコーチの信頼関係が築けていなければ、選手をまとめることなど出来ません。 選手たちはそれらに敏感です。何かしら「おかしい」と感じ取ります。 そうなると選手たちは監督とコーチ、どちらについて行けば良いのかを 考え始めますので、チームは二つの派閥に分かれて行きます。 内部崩壊です。

 

プロのコーチとは、どのような人物であるべきでしょうか? プロフェッショナルとは、「やるべきことをわかっている人」だと思います。 コーチの仕事は監督に気持ち良くチームを作ってもらうために、 監督の仕事をサポートすることです。

現状、フットサルクラブ(チーム)の多くは、監督にスタッフ選別の 権限がないように思います。 クラブが外部からコーチを連れて来て、チームスタッフにするのではないでしょうか。 監督はクラブから言われた通りに、その人物をコーチとして受け入れます。 ですから、そのチームにコーチとして入閣する人物には、 監督の哲学を理解し、納得していただきたいと思います。

もしくは、監督自らが自身に忠実で、自身の考えを理解し、 なおかつ信頼してくれている人物を連れて来ることが望ましいです。

 

コーチの評価はチーム成績に左右されます。 チームの成績が悪く、監督がクビになればコーチもクビになります。 当たり前の話です。 監督以下スタッフはコーチングスタッフとして、チームの全責任を負います。 監督だけクビになって、コーチがチームに残るどころか次の監督の座につくなど、 もっての他です。あり得ません。 コーチもチームの成績に対する責任を100%負うべきです。

 

繰り返しになりますが、コーチの評価はチーム成績に左右されます。 チームが勝てるよう、監督をサポートし、監督が能力を発揮して チームが好成績を収めるために尽くす! これがコーチに求められる仕事です。 現監督を追い出して、自分がその座につこうなどと、言語道断です。

コーチは監督が何をしたいのか、どのようなチームを作りたいのか、 今何を考えているのか、興味はどこにあるのかを理解すべきです。 それができるコーチがいるチームは強いです。

よって、監督とコーチの理想の関係は、 一心同体であることです。