ブラジル式フットサル講習会

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原石が名古屋オーシャンズを破った日

 去る2/13(日)、府中アスレティックFCのユースチームが、下部組織交流戦の試合で、名古屋オーシャンズサテライトチームに勝つことが出来ました。まさに、ジャイアントキリングを起こした、と言っていいと思います。

 名古屋オーシャンズは、つい先日Fリーグ4連覇を達成した、フットサル関係者で知らない人はいない、強豪中の強豪。その下部組織にあたるサテライトチームも、全日本選手権の本戦へ、東海代表として出場している程の実力です。サテライトチームであっても、名古屋オーシャンズは強い。ということです。

 

 しかし、その名古屋オーシャンズを相手に、ユース選手が堂々と戦い、勝利を収めたのは見事でした。出場選手の内訳は、162名、17歳3名、18歳7名(うち、Jrユースからプレーしている選手が2名。)

 

 勝てた要因は2つあります。1つは全員がチームのために行動出来たこと、そしてもう1つは、自分たちのスタイルを崩さなかったことです。

 

 信念をつらぬくことの大切さを、改めて感じました。

 

 多分、名古屋オーシャンズサテライトと対戦するチームの、誰もが陥ることだと思いますが、うちの選手たちも、試合開始前から前半開始直後までは、「名古屋」という名前に負けていて、相手にのまれていました。戦う前から、相手が名古屋ということで萎縮し、ユースの試合などでは、当たり前のように出せている声がなく、プレーも消極的で、試合が始まったばかりだというのに、無意識のうちに点を取ることよりも、失点しないようにしようという、保守的な戦い方をしてしまっていました。

 

 相手にのまれてしまうと、どんなに力のある選手でも、持てる力の数%しか出せませんので、ジリ貧になってしまいます。このまま、主力だからといって、プレーさせ続けてしまっては、自信をなくしてしまうし、始まったばかりの試合を、負けゲームにしてしまいます。どんな試合でも、負けるために戦うチームはありません。当然私も、勝つつもりで名古屋へ乗り込んでいました。100%の力で戦えない選手をプレーさせ続けるよりも、ベンチで「試合に出たい! 」と願う、セカンドセットが、より力を出せると思い、前半が4分過ぎた辺りで2ndセットへ切り替えました。

 

 2ndセットを送り出した時の指示は、「前からボールを奪いに行こう! いつも通りの戦い方を徹底しよう! 名古屋相手でも怖がることはない! 自分たちのやり方を貫こう! 」というものでした。

 

 うちは試合開始早々、1stセットで1失点していました。相手を怖がった結果、DFラインの位置が低く、ハーフウェーラインからの、エイト→パラレラで簡単にシュートを打たれての失点です。DFラインが低いと、ボールを持っている選手へのプレッシャーが緩いので、余裕を持ってパス回しをされてしまいます。名古屋のように、技術と知識の両方を兼ね備えているチームが相手の場合、選択肢が豊富なので、DFは後手に回ってしまいます。すると、常にシュートレンジまで押し込まれた状態なので、一瞬でも集中を切らすと、シュートを打たれてしまいます。これが先制点を奪われた理由です。

 

 その後、2ndセットに変えてからもカウンターから2失点目、コーナーキックから3失点目を奪われますが、明らかにプレーの質が変わって来ていました。元々、年間通して、引いて守ることをして来なかったチームとしては、引いて守ること自体合っていません。相手が強いからといって、チームに合っていないDFをやってしまっては、ボールを奪う場所がいつもと違うので、攻撃も合うはずがありません。

 

 2ndセットに代えて、前からのプレスを徹底したことで、「いつもの戦い方」に戻すことが出来ました。「いつもの戦い方」ということは、失点をしても、点の奪われ方がいつもと同じなので、次のプレーに切り替えることが出来ます。ようするに、失点しても、「点を取り返そう! 」という気持ちになれるということです。もしこれが、「いつもと違う戦い方」ならば、失点の仕方に疑問を抱き、失点した事実を受け入れられず、混乱したままだったのではないでしょうか。

 

 「いつもの戦い方」をすることで、チームは練習をしている時と、同じ力が出せるようになります。そうなると、対戦相手が名古屋であるということ、会場がオーシャンアリーナということも、気にならなくなります。それは、「やるべきことをやるだけ」の精神状態になるからです。

 

 相手を怖がらず、普段通りのチームの戦い方を徹底したおかげで、前半のうちに1点を返し、1-3で後半を迎えられました。

 

 ハーフタイムでは、2010年サッカーW杯で、ジュビロ磐田の川口選手が、土壇場で日本代表に選ばれたのはなぜか、そして、なぜベスト16まで進めたか、という話をしました。サッカーの日本代表で、2002年W杯での躍進と、2006年W杯でのグループリーグ敗退が比較されることがあります。その経験を生かして、2010年W杯では、土壇場でチームをまとめる役として、川口選手がメンバーに選ばれました。格上相手に勝つには、実力以外の要素として、「自己犠牲の精神」が重要になるということです。フットサルは団体競技です。これを踏まえて、登録を外れた選手も含めて、全員に、「チームが勝つために、全員がやるべきことをやろう! 」と再度訴えました。

 

 その結果、前半では少ないと感じた、味方を励ます声、チームを盛り上げる声が増え、良い雰囲気で後半を戦えられたと思います。そして、最後まで諦めない姿勢がGKのミスを誘い、引き分けにつながったのだと思います。PK戦では、全員が肩を組み、FPはGKを、GKはFPを信頼することで、見事強敵にPK戦で勝つことが出来ました。

 

強敵に勝てたポイントは、

 

●自分たちの戦い方を貫いたこと

●出場選手、登録外選手、全員がチームのために、力をあわせたこと

●監督、選手、全員がお互いを信じたこと

 

 選手が監督の指示を無視しては、チームとして統一された戦いなど、できるわけがありません。監督は、自分の選手たちならば、きっとこの戦い方で結果を出してくれるだろう、必ずやってくれるだろう、と信じて、戦術を授けます。また、選手も監督を信じて、監督指示に従うことで、チームとして組織立った戦いができるようになります。しかし、ここで重要なのは、戦い方に疑問を抱いているのに、「監督には逆らえない」という思いがあるために、不満を持った選手を作ってはいけないということです。

 

 私は、選手も監督には意見をしても良いと思っています。チームが勝つために必要ならば、選手は自分の考えを監督に伝えるべきだし、監督もそれを聞くべきだと思います。そして、監督は、「選手が逆らうな! 」と感情的になっていはいけません。ピッチで戦っているのは監督ではなく、選手です。その選手が、自身の体験から得た疑問を解決したい、より良くしたいと思って発言しています。前述しましたが、「試合に負けたい」と思う人は誰1人いません。ですから、監督は、選手が何か疑問を持ち、解決したいがために意見を述べたり、質問をして来たならば、それを受け入れるべきです。そして、自身の信念の基に、「自分の戦い方を信じてくれ」と訴えるならば、なぜその戦い方なのかを論理的に選手に説明出来なければいけません。それが出来れば、選手は納得するし、監督とその考えを信じ、勝利に貢献しよう。と思うはずです。もちろん、選手にもこれは当てはまることで、感情的になって、自分の不満や疑問をベンチで巻き散らす行為は決して、してはいけません。選手も、監督の言い分を、「冷静に聞く耳」を持たなければいけません。

 

※選手は日頃から、大なり小なりの疑問や不満を抱えています。だからこそ、監督やコーチは、所属する全選手に目を配り、変化に敏感にならなくてはいけません。何か変だなと感じたら、選手と対話をし、疑問や不満を解決する必要があります。このように、普段から監督、コーチ、選手がコミュニケーションを図っていれば、試合中に大ケンカをするような問題には発展しません。3者が日頃から信頼関係を気づくことこそ、実は強敵に打ち勝つ最大の武器なのではないでしょうか。

 

 話は戻りますが、残念ながら登録を外れてしまった選手も、自分のチームが本当に好きならば、自分が出ていないから「負けても良い」などと思いません。自分が出ていなくても、「自分のチームに負けて欲しくない! 」「 勝つところを見たい! 」と思って、大声で応援するから、それがチームの力にもなります。応援されて、うれしくない選手などいませんから。

 

 フットサルは団体競技なので、チーム内に誰か1人でも輪を乱す選手がいると、それがどんどんと周りに波及して、悪い雰囲気を作り出してしまいます。しかし、全員が協力することによって、チーム力は数倍にも跳ね上がります。

 

 絶対に負けられない試合や、どうしても勝ちたい相手、そして、強豪や格上と戦わなくては行けなくなったときに、上記ポイントを参考にしていただけたら幸いです。

2011213下部組織交流戦