ブラジル式フットサル講習会

ブラジル式フットサル講習会は、ポルセイド浜田監督(Fリーグ)を務める峯山典明(フットサルB級指導員)の指導論・育成フィロソフィーを掲載しているブログです。また、ブラジルで培って来た経験談、コラムも掲載しています。Copyright(C), 2005-2022 MIRACLON ブラジル式フットサル講習会 All rights reserved. このウェブサイトで掲載されている写真・記事・内容の出典を明記しない転載・無断転載・商用の転載を禁じます。

2対1に特化したトレーニング

フットサルのチーム練習において、2対1に特化したトレーニングについて書きたいと思います。

 

●対面パスの効果、目的、質を高めるための解説

・対面パスはインサイドキックのフォームを確認(修正)するには良い練習方法と言えます。
しかし、実際の試合では正面で向かい合った2人がパス交換することはほとんどありません。
ですから、2人1組で向かい合った対面パスは、インサイドキックのフォームを
確認したり修正したい時だけ簡単に行えば、それで十分な練習です。


・インサイドキックの精度を試合で使えるレベルまで高めるためのトレーニングとしては、
試合を想定することが必要になります。
インサイドキックはキックの種類では一番精度が高められるキックですので、
短い距離のパス交換ではインサイドキックを蹴ることになります。
短い距離のパス交換とは横パスのことであり、その試合中の横パスを想定した
練習を行うことで試合と同等の負荷をかけられますので、
試合で使えるレベルのキック精度に高めるための練習ができます。

 

【ウォーミングアップ】

●対面パス(1)
・2人1組に分かれてボールを1個保持し、5m間隔で向かい合って
インサイドキックのパス交換。
・攻めるゴールを設定し、攻めるゴールを向いた状態での横パス交換。
・基本となるプレーを抑えて欲しいので、まずは受け手と出し手をはっきりする。
・受け手は常にフェイクを入れる。
・出し手はフェイクなしで、受け手のフェイクのタイミングにあわせてパスを出す。
・逆サイドも行う。

※フェイクは後ろ足からのクロスステップで、肩を攻めるゴールに向ける。
裏を取れれば走ってしまえば良いだけなので、本当に裏に走るフォームで、
大きく一歩を踏み出す。フェイクの後の動作として、後ろに戻ることはしません。
DFラインを押し上げたいので、フェイクのステップ後はその場に止まる。

●対面パス(2)
・(1)と同様にプレー。
・相手からのパスを足裏で前方に真っすぐ軽く押し出して、
一歩踏み込んでからパスを出す。

※ボールをその場に止めると、踏み込むことができないので蹴りにくいです。
前方にボールを軽く押し出すことで一歩踏み込めるので、パスが出しやすくなります。

●対面パス(3)
・(2)と同様にプレー。
・トラップしてからパスを出すまでに1秒半以下でプレーする。
トラップからパスまで2秒かけないよう、プレースピードを上げる。

 

【トレーニング】

●横パスからのパラレラ
・上記のように試合を想定した横パスから、2人で「声」でタイミングをあわせる。
・横パス→トラップ→「パラ」の声→「横パス」→パラレラのパス→突破のラン

※必ずパラレラのパスを出してから走る。ボールを追いかけるようにする。
パラレラからはシュートで終わりたいので、ボールが前にあればシュートが打てる。
先に走り出して、走ってからパスを出したらボールが後ろから出て来ることになる。
後ろから出て来るパスはシュートを打ちにくい。

 

●横パスからのワンツーパス
・上記のように試合を想定した横パスから、2人で「声」でタイミングをあわせる。
・A横パス→Bトラップ→B「ワンツー」の声→BがAに寄って行く→Aは足裏で軽くパス
→Bがスルーパス→Aが突破のラン

※Aの足裏パスはBに向かって真っすぐ転がす。前や後ろにずらさない。
前に出すとボールがDF近くになって、奪われてしまう。
後ろに下げるとスルーパスを出しにくい。

 

●試合を想定しての2対2
・オフェンス2人対ディフェンス2人をハーフコートでプレー。
・ゴールクリアランスからスタートし、オフェンスはハーフウェーラインを越えれば勝ち。
ディフェンスはボールを奪ったら対面のゴールに対して攻め、シュートまで持って行く。
・ディフェンスの2人はマンツーマンDFの設定でそれぞれ1人ずつマークし、正面に立つ。
・DFがマンツーマンなので、オフェンス側はディフェンスが密着していることを利用して、
DFの裏のスペースを狙う動きをすること。
・横パスを出した選手がDFの裏を狙うように、クロスステップでDFの肩よりも
若干後方へステップ移動する。
DFがついて来たら、その場に止まります。

※下がってしまうとボールラインを押し上げられず、もったいない。
ボールラインを押し上げたいので、DFがついて来たら「その場に止まる」こと。

・ボールを保持している選手は、逆サイドで裏を狙う動きから急に止まった選手に
横パスを出し、自身も同じようにクロスステップでDFの背後をつく。
DFがついて来たら、その場に止まります。
・横パス→DFの背後へクロスステップで移動→DFが下がる→止まる→パスを受ける→横パス
ひたすら、これの繰り返し。
ディフェンスはパスカットを常に狙っておく。
狙い過ぎると裏へスルーパスを通されてしまうので、注意する。
ディフェンスがパスカットを狙うということは、意識及び姿勢が前がかりになるので、
いつか裏が取れる。それまでパスミス/トラップミスすることなく我慢する。
ディフェンスの姿勢/体重のかかり具合を見計らって、裏を取る。

※攻守の切り替え有り。

 

●2対2からの2対1
・2対2をハーフコートでプレー。
・オフェンスとディフェンスに分かれてプレー。
・オフェンスは前のトレーニングで行ったパス交換を繰り返しながら、
2対2を2対1にできるタイミングを掴む。
極力、「横パス→裏を狙う」のプレースピードを速める。
一人の選手がずっとボールを保持してしまうとボールが動かないので、
ディフェンスの目と首も動きません。
よって、ボールを持って止まったところを寄せられてしまいます。
そのため、オフェンスは常に目の前のディフェンスの裏を狙う動きが必要になる。
「裏を狙う」という選択肢が増えることによってディフェンスは前がかりになることが
できなくなるので、横パスを出しやすくなります。
イメージとしては、横パスを出そうとすることでディフェンスを引きつけ、
ディフェンスが食いついてきたら、裏に飛び出す。
そしてディフェンスが頑張ってついて来たら、フェイクで止まる→横パスを受ける。
これの繰り返しになります。

 

<2対1を作る方法>
(1)DFとDFの間に入ることによって、局地的に2対1の状況を作れます。
間に入った選手に対するディフェンスは後ろに位置することになるので、
間へのパスを前でカットすることはできなくなります。
よって、間に入った選手とワンツーパスでDFを崩せるようになります。

(2)ワンツーパス
出し手が受け手に寄って行ってワンツーパス。
DFとDFの間が門のように開くことによってスルーパスが出せます。
そのパスを通すことができる状況は2対1です。

(3)パラレラ
パラレラは縦のワンツーとも言えます。
一般的なワンツーパスは横のワンツーパス。


<総括>
全ての局面でオフェンス側が数的優位になれれば、得点チャンスを作り出すことができます。
4対4を4対3にしたとしても、局面だけ見れば2対1です。
いかに局面で2対1を作りだせるかに勝敗がかかっていると言っても過言ではありません。
フリーランニングや「声」などのコミュニケーション、この二つで数的優位は作り出せます。