ブラジル式フットサル講習会

ブラジル式フットサル講習会は、ポルセイド浜田監督(Fリーグ)を務める峯山典明(フットサルB級指導員)の指導論・育成フィロソフィーを掲載しているブログです。また、ブラジルで培って来た経験談、コラムも掲載しています。Copyright(C), 2005-2022 MIRACLON ブラジル式フットサル講習会 All rights reserved. このウェブサイトで掲載されている写真・記事・内容の出典を明記しない転載・無断転載・商用の転載を禁じます。

なぜ今フットサルなのか、、、(1)

2,3年前から「若年層でのトレーニングにはフットサルが良い」という考えが

増えて来ました。

 

2002,W CUPのロナウドの得点シーンがどのメディアでも

「フットサルをやっていたから」「フットサルならではのゴール」だと取り上げられ、

最近では「ロナウジーニョのボールテクニックはフットサルをやっていた賜物だ。」

という意見が多く、各メディアでもロナウジーニョ やジダンの

のボールテクニックとフットサルの関連性を取り上げています。

 

若年層プレーヤーにフットサルをプレーさせる事が本当に一流選手のような、

ボールテクニック習得に繋がるのでしょうか?

 

私はブラジルでプレーし、指導者として本場のフットサルを学んで来ました。

そこで実際に体感し、得たものを総合的に判断すると

【フットサル=魅惑的なプレー習得、発揮】

には即、繋がる事はないと思いました。

 

※)当コラムでの内容は全て私個人の自論になります。世間一般での考えと

  反する内容が掲載されている場合がございますが、あくまで個人の意見

  ですので読み流していただけたら幸いです。

 

私は現在様々なカテゴリーの選手にフットサルを教えています。

また私自身がフットサルとサッカーの現役選手でもあるので、フットサルを

学ぶ事でそれがどのようにサッカーに活かされるのかを、身をもって

実感出来ています。

 

まず最初にサッカー選手にフットサルを教えている時に気になるプレー・

技術を挙げさせていただきます。

 

・ショートパス

・シュート

・1対1(オフェンス・ディフェンス)

・ボールキープ

・体と腕の使い方

・ボールをもらう動き

(まだまだありますが、キリが無いのでこのぐらいで・・・)

 

(1)ショートパス

常日頃から考えてプレーしているサッカー選手はフットサルでも十分通用

しますし、より上のレベルでサッカーをプレー出来ると思います。

ですが、何も考えずにただ漠然と「パス」している選手はある程度のレベル

でしか通用しないでしょう。

それは、次のプレーを考えたパスを出せるかどうかです。

サッカーの最終ライン(3バックor4バック)でのパス回しをする時に、

・味方の右足・左足、どちらに出しているか

・速くて強いグラウンダーのパスを出しているか

・足下に出すのか、少し前に出すのか

・FWへのくさびのパスの質

上記の点に注目してみて下さい。

どんな選手でも利き足に出してあげれば素早く次のプレーに移れます。

センターバックからサイドバックへパスを出す場合、右サイドバックの

右足に出してあげればそのままトラップで前を向く事が出来るので

スムーズに縦パスを入れられます。

左足に出してしまうと内側にトラップする事になりますので、

即前を向いて攻撃に転じる事が難しく、視野が狭くなります。

同様に、センターバックから左サイドバックへのパスを左足に出してあげれば

そのままトラップで前を向く事が出来るのでスムーズに縦パスを入れられます。

 

続いて、センターバック同士やセンターバックからサイドバックもしくは

サイドバックからセンターバックへのパスをインフロントキックで

少し浮かしたパスなのか、それとも速くて強いグラウンダーのパスを

出すかで随分状況が変わって来ます。

 

最終ラインでのパス回しは攻撃サイドを変えるために行うので、

どれだけパス回しをスムーズに素早く行えるかどうかで、相手チームの

ディフェンス体形が変わって来ます。

当然、サイドチェンジのスピードが速ければ速いほど相手チームは

ディフェンス体形を整えられないので、攻撃の展開がしやすくなりますし、

得点チャンスも増えると思います。

 

サイドチェンジを早く行いたいのにパスを浮かしてしまったり、

遅いパス回しをしていては効果は半減します。

という事はいかにグラウンダーの速くて強いパスを回していくかが

重要になって来ます。

 

FWへのくさびのパスも同様で、雑なバウンドするボールをFWに出してしまうと

FWはトラップするのが難しくなるので、ボールを思うようにコントロール

する事が出来ず、次のプレーの精度が低くなります。

くさびのパスを受けた選手の次のプレーの精度が低くなるという事は、

得点チャンスを作る事が難しいという事と直結します。

やはりくさびのパス1本にしても、グラウンダーのコントロールしやすい

ボールを出してあげる事が得点チャンスを生むためのプレーが

しやすいのではないでしょうか。

 

フットサルはコートが狭いため、常に相手チームの選手(ディフェンス)が

自分の目の前にいますし、味方にもマンマークで相手チームの選手が

密着しています。

そのため、試合中は味方の左右どちらの足にパスを出すかを

考えながらプレーする事が要求されます。

当然、敵に近い方の足に出してしまったら即カットされてしまいます。

ですが、敵から遠い方の足に出してあげれば逃げながらのトラップが出来、

またトラップで敵をかわず事も出来るし、体を使ってボールキープする事も

可能になります。

もし味方の前にスペースがあれば足下に出す必要はありません。

足下に出してしまったらボールを1回止めるため、次のプレーに時間がかかります。

そのような場合は少し前方に(前足)出してあげれば縦にドリブルさせる事も出来ます。

もちろんパスは強く出します。

遅いパスを出してしまっては得点チャンスを逃してしまったり、

目の前のディフェンスにボールを奪われ、カウンターで攻められ

ピンチを招いてしまいます。

 

コートが狭いという事は少しでもボールコントロールをミスしてまったら

コートのラインを割ってしまったり、目の前にいる敵にボールを

奪われてしまいます。

そのため味方がボールをコントロールしやすいように、フットサルでは

グラウンダーの速いパスが常に要求されます。

それを繰り返す事によって、パス1本に対するこだわりが生まれ、

精度も上がって行く(技術が身につく)のだと思います。

 

ここまで読まれた方で勘の良い方ならばおわかりになったと思いますが、

【フットサル】という競技で【スター選手のような魅惑的な派手なプレー】

をするのは非常に難しいのです。

繰り返しになりますが、相手選手との距離が非常に近いし、

コートが狭いからです。

 

ですが、突き詰めて行くと実は【フットサル】に真剣に取り組む事で、

将来【スター選手のような、シンプルプレーと魅惑的なテクニックを織り交ぜたプレー】

が可能になります。

なぜならば、フットサルをプレーするという事は、狭いコートで敵味方が

密集している状況でのプレーを常に要求されるという事なので、

プレッシャーを受けている状況でのボールコントロール技術

(トラップ・パス・体の使い方・視野の確保)を身に付ける事ためには最適です。

そのようなプレッシャーを受けた状態でのボールコントロール技術を見つける事で、

サッカーという、より大きなピッチでプレーした際にものすごく余裕が

生まれます。

サッカーはフットサルよりもディフェンスとの距離が遠いですし、コートも広く、

味方の人数も多いです。(敵も多いですが、、、)

狭いコートでのプレーから大きなピッチでのプレーに移行すれば確実に

余裕を持ってプレーする事が可能になってきます。

 

余裕が生まれるから、【魅惑的なテクニックを前面に押し出したプレー】

が出来るようになるのです。

 

フットサルをプレーすれば誰もがテクニシャンに育つのではありません。

前述した、フットサルで求められる【パスの精度】【密集地帯での体の使い方】

【視野の確保】【ボールコントロール】【パスの選択肢】etc・・・

がなぜ必要なのか、自身で考えプレーし、身に付けるからこそ、

テクニックに秀でた選手に育つのだと思います。